2026年の幕開けとともに、新橋演舞場や東京・歌舞伎座の舞台で繰り広げられる最新公演は、観劇ファンにとって見逃せない熱量を帯びている。当代の真髄に迫る上で欠かせないのが、かつて語られた名跡襲名にまつわる知られざるエピソードだ。
2007年、信二の名から名跡を継ぐ決断をした際、本人の胸中には計り知れない葛藤があったという。伝説的スターである二代目 中村錦之助の血脈と名を継ぐ重圧は並大抵のものではなかったが、「萬屋の藝の灯を絶対に消してはならない」という確固たる覚悟が背中を押した。伝統芸能の真髄を守り抜く意志が、現在の重厚な舞台姿へと結実している。