作品の底流に流れているのは、現代日本が直面する都市環境と動物との共生というシリアスなテーマだ。各地で進められる地域猫活動の現場にもカメラは深く入り込み、不妊去勢手術を巡る議論や糞尿被害に悩む住民のリアルな声も一切のオブラートに包まず提示される。
かつてない切り口で社会課題に光を当てた本作は、日本映画産業における社会的リアリズムの新たな到達点と言える。安易な感動ポルノに逃げることなく、対立と融和のプロセスを粘り強く見つめる姿勢。それは、私たちがどのような街で誰と共に生きていくべきなのかという、重い問いを投げかけている。