ネット上の掲示板やSNSで囁かれる「三河島は治安が悪い」という言説は、客観的事実と著しく乖離しています。警視庁が公表している「区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」の最新データを分析すると、荒川区全体の犯罪発生率は東京23区内で常に下位5位以内(犯罪が少ない順)に位置しており、23区屈指の安全な自治体であることが証明されています。
三河島駅が位置する荒川区西日暮里一丁目や隣接する東日暮里エリアにおいて、凶悪犯罪の発生は極めて稀です。統計上記録されている事案の大半は、駅周辺での自転車盗難や置き引きといった軽犯罪に留まります。
では、なぜこれほどまでに「治安が悪い」というイメージが定着してしまったのでしょうか。筆者が現地取材で見出した理由は主に3点あります。第1に、関東大震災や戦災を逃れた歴史的経緯から、狭い路地に古い木造住宅や町工場が密集し、夜間になると街灯の光が届きにくい陰影の多い景観が残っていたこと。第2に、後述する歴史的コリアンタウン特有のハングル看板や独特の路地裏情緒が、不慣れな来訪者に心理的威圧感を与えていたこと。そして第3に、昭和期の古い報道イメージの残像です。
現在の駅周辺では、荒川区による防犯カメラの重点配置やLED防犯灯の増設、地元町会による夜間防犯パトロールが日常的に行われており、体感治安は劇的に改善しています。暗い細道を避けて尾竹橋通りや宮地陸橋周辺の幹線道路沿いを選んで歩けば、夜遅くの一人歩きでも身の危険を感じる場面はほとんどありません。