麻田奈美の名を不朽のものとしたのが、写真家・篠山紀信が手掛けた、いわゆる伝説の林檎ヌードです。真っ赤なリンゴを手に持ち、屈託のない笑顔でポーズをとる一枚の写真は、当時のポスターや雑誌を通じて日本全国に衝撃を与えました。
関係者の回顧録や当時の制作ドキュメントによると、この歴史的カットが生まれた背景には、篠山紀信氏の徹底した「肉体の解放」へのこだわりがありました。過度なライティングや人工的なセットを排し、あえて屋外の自然光を浴びながら撮影する手法が採られました。小道具として使われた真っ赤なリンゴは、旧約聖書のエデンを連想させつつも、彼女の弾けるような若さと健康美を象徴するポップな記号として機能したのです。
撮影現場で篠山氏は、彼女に対して型にはまったポージングを指示するのではなく、風や光を感じるままに自由に動くことを求めたと伝えられています。その結果生まれたのが、性を卑屈な隠し事としてではなく、生命力そのものとして捉えたあの奇跡的なカットでした。当時発行されたポスターは盗難が相次ぐほどの社会現象となり、写真集『麻田奈美写真集』などは後世のグラビア表現のバイブルとなりました。