大会前日の計量を終えた解放感から「とにかく詰め込めば張る」と過信し、当日の朝に鏡を見て絶望する選手は後を絶ちません。皮膚が分厚くなり、浮腫(むくみ)が発生する背景には明確な3つの原因が存在します。
最大の要因は「そもそも体脂肪の絞り切りが甘い」ことにあります。カーボアップは体脂肪率が極限(男子なら5%前後以下)まで落ちているからこそ真価を発揮します。皮下脂肪が残った状態で糖質を大量摂取すると、余剰な糖と結びついた水分がそのまま皮下に滞留し、輪郭をぼやけさせてしまいます。
次に多いのが、消化器官のキャパシティオーバーです。減量で小さくなった胃腸に、突如として大量の固形物や高GI食品を詰め込むと、消化吸収が追いつかず腸内で炎症やガス溜まりを起こします。これが原因でお腹が前に突き出る「ディステンション」を引き起こし、ステージ上でのウエストの細さを損なってしまいます。
さらに見落とされがちなのが、水と塩分の急激な断絶によるホルモン異常です。グリコーゲン1gを筋肉に蓄えるためには、およそ3g前後の水分が必要となります。極端な水抜きや塩抜きを同時に仕掛けると、浸透圧調整ホルモンであるアルドステロンが過剰分泌され、かえって皮下に水分を保持しようとするリバウンドが起きるのです。