結論から言えば、美容室と美容院の違いに法的な差は一切ありません。どちらを使っても間違いではなく、提供できる施術内容、衛生基準、開設に必要な資格要件も完全に同一です。
日本の公衆衛生を管轄する美容師法(昭和32年法律第163号)を紐解くと、意外な事実が判明します。同法第2条第2項において、美容を業として行う場所は「美容所(びようしょ)」と一律に定義されています。つまり、国や厚生労働省、各自治体の保健所への届出書類において用いられる公的な正式名称は「美容所」のみであり、「美容室」も「美容院」も法令上は存在しない通称に過ぎません。
店舗を開業する際、オーナーは保健所へ美容所開設届を提出します。その申請書類に記入する「施設の名称(屋号)」を「〇〇美容室」にするか「〇〇美容院」にするか、あるいは「Hair Salon 〇〇」にするかは、経営者の完全な自由です。行政指導や許認可の審査において、名称によって査定が変わることは制度上ありません。
また、美容室と美容院のサービス内容の比較を行っても、カット、パーマ、ヘアカラー、トリートメント、セット、ブローといった基本メニューに一切の差異は見られません。どちらの看板を掲げていても、従事している技術者は全員、国家試験を突破した「美容師免許」の保持者です。