アルピニストの間では「エベレストは資金とサポートがあれば登れる可能性があるが、K2は真の実力と運が揃わなければ生きて帰れない」と語り継がれています。
K2とエベレストの難易度の違いを決定づける要因は、その地形の険しさと気象の予測不可能性です。エベレストはノーマルルートの開拓が進み、商業公募隊のインフラが整備されています。対してK2は、取り付きから山頂まで緩やかな斜面がほとんど存在せず、雪崩や落石が頻発する急峻な岩壁が続きます。
特に標高8,200m付近にある「ボトルネック」と呼ばれる巨大な氷瀑の下をトラバースする難所では、上部からのセラック(氷塔)崩壊に巻き込まれる事故が後を絶ちません。歴代の著名登山家の手記でも「一瞬の判断ミスが生死を分かつ」「遺体回収すら不可能な極限地帯」として克明に記録されています。
日本国内においても、北岳は「富士山より登攀難易度が高い山」として知られています。富士山は5合目(約2,300m)までマイカーやバスでアクセスでき、実質的な標高差は約1,400mです。しかし、南アルプス・北岳の登山ルートの拠点となる広河原の標高は約1,520mであり、山頂までの実質標高差は約1,670mに及びます。
延々と続く急登、天候悪化時の岩稜帯通過、さらには日本屈指の大岩壁「北岳バットレス」など、アルパインクライミングの聖地としての側面も持っており、登頂には相応の体力と経験が求められます。