大手旅行ポータルやSNSの情報だけを頼りに松阪を訪れた人が後悔しやすい典型例が、「松阪に来たからには松阪牛を食べなければ損をする」という思い込みです。インターネット上のレビューや質問掲示板を分析すると、「贅沢しすぎて昼から胃もたれした」「高価格帯の割に滞在時間が短く慌ただしかった」という不満の声が一定数散見されます。
ここで知っておくべき決定的な事実が、松阪市民がハレの日以外に熱烈な支持を寄せる「松阪鶏焼き肉の名店」の存在です。松阪周辺は古くから採卵用の成鶏(親鶏)を飼育する農家が多く、役目を終えた鶏を甘辛い濃厚な味噌ダレに絡めて網焼きにする文化が昭和期から定着しました。その総本山とも言える存在が、郊外のバイパス沿いに位置する前島食堂です。
前島食堂で提供される「めす(親鶏)」や「若どり」は、1皿あたり500円〜700円前後という破格の価格設定。特製のニンニク味噌ダレが絡んだ鶏肉を煙が立ち込めるロースターで香ばしく焼き上げ、白米とともに掻き込むスタイルは、まさにコスパ最強ランチ評判の原点と言えます。地元民おすすめの理由として「松阪牛は贈答用か年1回の贅沢だが、鶏焼き肉は週に1度通う日常の活力源」と語る市民は少なくありません。ブランド牛の神話に囚われすぎると、この街が持つ真の食の豊かさを見誤ることになります。