「無料素材サイトで見つけたピザのイラストだから、会社のパンフレットや店舗の看板に自由に使っても問題ない」という認識は、実務上きわめて危険な誤解です。現場で頻発しているピザイラスト商用利用の注意点と真相を浮き彫りにしていきましょう。
代表的な事例が、『いらすとや』が設けている商用利用の上限ルールです。公式利用規約において、非商用の個人利用であれば点数制限はないものの、商用目的(企業のパンフレット、販促チラシ、収益化されたYouTube動画、有償販売されるメニュー表など)で利用する場合、1つの制作物につき無料で使用できるのは20点までと明確に定められています。ピザのイラスト単体だけでなく、背景の装飾や人物アイコンなどを同じ制作物に組み合わせて21点を超えた場合、有償ライセンスの購入義務が発生します。これを見落としてWeb制作会社がクライアントからクレームを受けるトラブルは後を絶ちません。
また、宅配ピザイラスト素材を使用する際にも法的な地雷が存在します。デリバリー用バイクや専用のピザカートン(外箱)が描かれたイラストにおいて、実在する大手チェーン(ドミノ・ピザ、ピザーラ、ピザハットなど)の意匠やロゴマーク、コーポレートカラーの配色パターンを過度に模倣したイラストを公開・使用した場合、不正競争防止法や商標権侵害のリスクを招く懸念があります。素材提供元が「商用可」とタグ付けしていても、そのイラスト自体が他社の知的財産権を侵害していれば、利用した企業側も責任を問われかねません。
加えて、イラスト素材をそのまま自社のロゴマークとして商標登録することや、Tシャツ・マグカップなどのグッズにして素材そのものを主要な価値として転売する行為は、ほぼすべての主要素材サイトで明確に禁じられています。「ピザイラスト商用利用可」という文言は、「どんなビジネスにでも無制限に使える」という意味ではないことを、発注者・制作者双方が肝に銘じる必要があります。