ネット上には足噛み対策として様々なアドバイスが飛び交っていますが、その中には獣医学的に極めて危険な誤解が多数含まれています。愛犬を守るために、避けるべき代表的なNG対応を整理します。
最大の誤りは「噛んでいる瞬間に大声で叱る」ことです。犬にとって飼い主の怒声や制止は、「噛むことで飼い主の関心を引けた」という報酬(アテンション)として誤学習される恐れがあります。さらに、強い叱責が新たな精神的ストレスを生み、飼い主が見ていない隙やサークル内で隠れてさらに激しく噛み壊すという最悪の展開を招きます。
もうひとつの深刻な盲点が「市販の靴下や包帯で足をきつく覆う」行為です。通気性を遮断された足先は内部で蒸れ、体温によって高温多湿の培養器と化します。マラセチア菌やブドウ球菌にとっては絶好の増殖環境となり、靴下を脱がせたときには皮膚がふやけて悪臭を放つ惨状になりかねません。傷口の保護は、患部の乾燥と通気性を確保した上での適切な医療処置でなければ意味を成しません。
また、「エリザベスカラーさえ着けておけばそのうち治る」という過信も禁物です。カラーはあくまで「口が届かないようにする物理的な時間稼ぎ」に過ぎず、痒みや痛みの根本原因を治療しているわけではありません。根本治療を怠ったままカラーを外せば、蓄積した欲求不満から以前よりも猛烈な勢いで噛み砕くことになります。