「白米を食べても血糖値が上がりにくいなら、糖尿病予防や食事療法に使えるのではないか」と期待する声は後を絶ちません。しかし、臨床現場に立つ糖尿病専門医や管理栄養士の見解は極めて冷静です。
医学的知見から言えば、白米に含まれる糖質がわずかに洗い流されたとしても、米が炭水化物のかたまりである事実に変わりはありません。糖質カットご飯を食べた被験者の食後血糖値の推移を追跡した検証でも、通常の白米と比べて急激な血糖値上昇(血糖値スパイク)を劇的に防ぐほどの有意差は確認できないケースが多いのが実情です。
とりわけ警戒すべきは、行動経済学や心理学で指摘される「心理的ライセンシング効果」です。「このご飯は糖質がカットされているから安心だ」という免罪符を得たことで、無意識のうちにおかわりをしたり、脂っこいおかずを多く食べてしまったりする認知の歪みが発生します。結果として1食あたりの総糖質摂取量や総カロリーが増加し、かえって血糖コントロールを乱してしまう患者が少なくありません。
糖尿病の治療や本格的な血糖値管理を目的とする場合、機器の不確かなカット機能に依存するのは極めてハイリスクです。計量器でご飯の重量を厳密に測る、あるいは雑穀米や玄米、大麦(もち麦)など食物繊維が豊富で食後血糖値の上昇が緩やかな主食へ段階的に切り替えるアプローチこそが、医学的根拠に裏打ちされた王道と言えます。