家庭料理や製菓・製パンの世界でも、単位換算の失敗は仕上がりに致命的な打撃を与えます。一般的な家庭料理において調味料を「ミリグラム」単位で指示するレシピはほぼ皆無ですが、お菓子作りや特殊な保存食作りでは事情が一変します。
たとえば、ゼラチン、アガー、ベーキングパウダー、あるいは自家製パンに用いるドライイーストなどは、わずか「0.5g(=500mg)」や「1g(=1000mg)」の差が膨らみ具合や凝固強度を大きく左右します。さらに、人工甘味料やスパイス類、塩分制限食に用いる減塩調味料の場合、1gの過剰投入は味覚を破壊するだけでなく健康管理上の数値を逸脱させかねません。
ここで多くの人が直面するのが、「キッチンスケールの測定限界」です。一般的な家庭用クッキングスケールの多くは最小表示が1g単位、高性能なモデルでも0.1g単位です。100mg(0.1g)以下の微細な計量は、通常の調理器具では正確に捉えられません。料理においてミリグラムレベルの制御が要求される局面では、通常のスケールで無理に計ろうとせず、0.01g単位で計測可能なデジタル微量計を使用するか、小さじスプーン(小さじ1杯=約5ml、水なら約5g)を基準とした分量調整を行うのが鉄則です。