子どもの身長に悩む保護者の心理につけ込み、ネット通販やSNS広告では「飲むだけで背が伸びる」と謳う幼児向けサプリメントが氾濫しています。アルギニンやボーンペップなどの成分を強調するこれらの商品について、日本小児内分泌学会は「身長を伸ばす科学的根拠は存在しない」とする警告文書を公式に発出しています。
小児科専門医が指摘する重大な盲点は、過剰な栄養補助食品の摂取が内臓に負荷をかける危険性だけではありません。サプリメントに依存することで、バランスの良い通常食からの栄養摂取がおろそかになり、かえって偏食や発育不全を助長するリスクがある点です。
骨が長軸方向に伸びるのは、骨の両端にある「骨端線(こったんせん)」という軟骨組織が増殖するためです。骨端線は思春期を終えると閉じてしまい、一度閉じると医学的な治療を用いても伸ばすことはできません。しかし、5歳児の段階で骨端線が閉鎖することは稀であり、民間療法に頼って貴重な時間を浪費するよりも、小児科で骨年齢のレントゲン診断を受ける方が遥かに有益です。