多くのドライバーが「睡魔=疲労や睡眠不足」と思い込んでいますが、車内環境そのものが強烈な眠気を強制的に誘発しているケースが多発しています。その元凶こそが、車内の二酸化炭素濃度と眠気の原因における密接な相関関係です。
JAF(日本自動車連盟)が実施した車内環境テストによると、乗用車に複数名が乗車し、エアコンを「内気循環モード」にして走行し続けた場合、開始わずか30分〜1時間程度で車内のCO2濃度は3,000ppm〜4,500ppmを突破します。建築物衛生法が定める環境基準値(1,000ppm以下)を大幅に超える数値です。人間はCO2濃度が2,000ppmを超えると眠気や疲労感、判断力の低下を覚え始め、3,000ppmを超えると頭痛や著しい集中力の欠如に襲われます。つまり、いくらミントガムを噛んでも、脳が軽度の「二酸化炭素中毒」状態に陥っていれば、生理学的に覚醒を維持することは不可能です。
さらに、カフェインの代謝メカニズムにも落とし穴があります。脳内で眠気物質「アデノシン」が受容体に結合するのをカフェインが阻害することで眠気を感じにくくさせますが、すでにアデノシンが受容体を埋め尽くした疲労の極致では、カフェインのブロック作用は著しく鈍化します。経口摂取したカフェインが胃腸から吸収され、血中濃度がピークに達するまでにはおよそ30分から60分のタイムラグが存在するため、「飲んですぐシャキッとする」というのは錯覚に過ぎません。まずはエアコンを即座に「外気導入」へ切り替え、左右の窓を数センチ開けて車内のCO2を一掃することが、すべての眠気覚ましにおける絶対的な前提条件です。