フレグランスにまつわる情報の中には、ネット上で拡散された不正確な知識や、古くからの間違った思い込みが数多く存在します。香りの魅力を損なわないために、代表的な3つの誤解を正していきます。
誤解1:香水をつけた後、両手首をゴシゴシと擦り合わせる
映画やドラマのワンシーンで頻繁に見かける仕草ですが、これは調香師が最も避けてほしいと語るNG行為です。手首を強く擦り合わせると摩擦熱によって繊細なトップノートの分子構造が破壊され、アルコールとともに香りの揮発が急速に進んでしまいます。結果として香りの調和が崩れ、本来のグラデーションを楽しめなくなります。つける際は、スプレーした箇所を擦らず、トントンと優しく押し当てる程度に留めるのが基本です。
誤解2:オードトワレを大量に吹きかければパルファムと同じになる
トワレの持続力の短さを補おうとして、一度に4プッシュも5プッシュも吹きかける人がいます。しかし、前述の通りトワレは揮発性の高いトップノートが多く含まれているため、噴射量を増やすと瞬間的な香りの拡散力だけが極端に跳ね上がります。周囲には「ツンとしたきつい臭い」として充満し、スメルハラスメントの原因となるだけで、持続時間は決して延びません。
誤解3:練り香水(ソリッドパフューム)はパルファムの代用品になる
蜜蝋やワックスに香料を練り込んだ練り香水とパルファムの比較においても誤解が見られます。練り香水はアルコールを含まないため揮発が穏やかで、パーソナルスペース(自分から半径30cm以内)にしか香りません。一方のパルファムは重厚な余韻を広範囲に残します。オフィスのデスクワークで周囲に一切迷惑をかけたくない場合には練り香水が最適解ですが、パルファムのような華やかな広がりを期待して購入すると物足りなさを感じることになります。