間質性肺炎の看取りを経験した遺族の手記や相談事例(SNSや患者会、知恵袋等のコミュニティ記録)を詳細に調査すると、家族が最も深い悔恨を口にするのは「酸素飽和度(SpO2)のモニター数値に振り回されてパニックに陥った瞬間」です。
実際に自宅で父親を看取った長男(50代)は、当時の壮絶な体験を次のように述懐しています。
「パルスオキシメーターのアラームが鳴り響き、SpO2が60%台に落ちたとき、父の苦悶の表情を見て怖くなり、事前の取り決めを忘れて思わず119番を押してしまった。救急隊が駆けつけたが、本人は気管挿管や心臓マッサージを望んでいなかったはずなのに、混乱の中で救急搬送され、最期は人工呼吸器につながれたまま冷たい処置室でのお別れになってしまった。医療スタッフとあの時の対応を何度もシミュレーションしておくべきだった」
訪問看護の現場を取材する中で、ベテランの緩和ケア認定看護師はこう語ります。「間質性肺炎の終末期において、家庭でのパルスオキシメーターの常時装着は、時に家族を過度なパニックへ追い込む罠になります。呼吸不全が進むと数値が低下するのは避けられません。見るべきは機械の数値ではなく、『本人の表情が苦しそうかどうか』です。苦痛の表情が見られなければ、酸素流量をむやみに上げるのではなく、頓服のモルヒネを投与して手を握り、静かに寄り添うことが最良の対応となります」