ネット上のコミュニティやSNS上では、昨日まで普通に会話していたにもかかわらず、ある朝突然糸が切れたように誰とも話せなくなる突然人と話したくない症候群に苦しむ当事者の生々しい告白が後を絶ちません。臨床の現場や編集部に寄せられる体験談から、典型的なケースを検証します。
大手IT企業でプロジェクトマネージャーを務めていた30代男性の手記には、その前触れと崩壊の瞬間が克明に綴られています。
「朝のミーティングで『おはようございます』の一言を口にしようとした瞬間、喉に異物が詰まったように声が出なくなりました。頭の中では喋ろうとしているのに、身体が全身で拒否している。同僚の視線が突き刺さるようで、そのままトイレの個室に駆け込み、丸一日震えて過ごしました。前日まで普通に仕事をこなしていたつもりでしたが、思えば数カ月前からチャットの返信を打つ指が重く、帰宅後も頭痛が止まらなかったのです」
また、衝動的に連絡先やSNSアカウントを消去してしまう人間関係リセット症候群を経験した20代女性は、知恵袋やコミュニティ掲示板で吐露されたリアルな感情と一致する証言を残しています。
「LINEの通知が溜まるたびに、まるで自分のプライベートな部屋に土足で踏み込まれている感覚がして息苦しくなりました。ある夜、突発的に全グループを退会し、アプリごと削除してしまいました。その瞬間は信じられないほどの解放感を味わいましたが、翌朝には強烈な孤立感と自己嫌悪が押し寄せてきた。話したくない衝動は、人間関係そのものを壊したいわけではなく、ただ『これ以上傷つきたくない』という切実な悲鳴だったのだと後から気付きました」
これらの事例が物語るように、対話を拒む衝動の根底には、長期間にわたって自己を犠牲にし続けた結果生じる「心理的エネルギーの完全枯渇」が横たわっています。