「耳つぼダイエットは痛いほど効いてる証拠だから外さないで」というアドバイスを真に受けてしまう利用者は少なくありません。東洋医学の経絡論において、不調を抱える臓腑に対応する耳の反射区(ツボ)は、気血の滞りによって圧痛過敏を起こしやすいとされています。特に自律神経調整の要所である「神門(しんもん)」や、胃・食道・内分泌といった代謝系エリアは、ストレスや疲労が蓄積していると指で軽く触れるだけでも鋭い刺激を感じるケースが目立ちます。
しかし、施術後に生じる生体反応には、許容できる「適正な反射刺激」と、直ちに中断すべき「組織損傷のサイン」という決定的な違いが存在します。東洋医学で語られる耳つぼジュエリーの好転反応とは、滞っていた血流が急激に促されることで生じる、耳全体がポカポカと温かくなる感覚や、心地よい重だるさ(ジンジンする軽微な鈍痛)を指します。この感覚は通常、貼付後数時間から半日程度で自然と治まります。
対照的に、脈打つようなズキズキとした拍動痛、何かに触れただけで飛び上がるほどの激痛、あるいは熱感を伴う腫脹は、好転反応などではなく局所の炎症反応です。耳介の皮膚は厚さがわずか1ミリ前後しかなく、皮下組織が極めて薄いため、皮膚の直下に軟骨膜が密着しています。この薄い組織に硬い金属粒を押し当て続ける行為は、物理的な組織壊死を招くリスクを孕んでおり、「痛みに耐える美徳」は医学的に極めて危険な賭けと言わざるを得ません。