医学部専門予備校の現場指導に携わるベテラン講師陣や、実際に地方国立大学に合格した受験生の手記からは、外からは見えにくい過酷な実態が浮き彫りになります。
都内大手医系予備校のチーフアドバイザーは、取材に対して次のように現場の実情を明かします。
「毎年、共通テストリサーチの結果を見て『秋田や旭川なら80%でもいけるかもしれない』と出願先を変える生徒がいますが、その大半は、地方国立を甘く見て敗れ去ります。なぜなら、そこには『東大理二や東北大理系を諦めて、どうしても医師になりたいからと出願してきた旧帝大志望群』がなだれ込んでくるからです。地方の医学部だからといって、受けている人間の基礎学力は決して低くありません」
また、2年間の浪人生活を経て東北地方の国立医学部に合格したある受験生は、合格手記の中で次のように述懐しています。
「『入りやすい』というネットのまとめ記事を鵜呑みにして出願した1年目は、二次試験の面接と独特な英語長文に面食らい、補欠にも引っかからずに散りました。地方国立医は問題数が少なく、配点が高いため、1つの大問で方針を間違えた瞬間に不合格が確定します。入試問題自体の難易度が平易だからといって、合格が易しいわけではないという痛烈な教訓を得ました」
SNSやネット掲示板の「ここは簡単」という匿名の書き込みは、合格したほんの一握りの成功体験、あるいは医学部受験の現実を知らない部外者による無責任な憶測に過ぎないことが、現場の証言から裏付けられています。