介護業界において長く指摘されてきた課題が「昇給率の低さ」です。一般的な日本企業では勤続20年で基本給が2倍近くに伸びるケースもありますが、介護現場の昇給スピードは緩やかです。
厚生労働省の統計をもとに算出した介護福祉士の勤続年数別年収の目安は以下の通りです。
・勤続1〜3年目:年収330万〜360万円(手取り月額約19万〜22万円)
・勤続5〜9年目:年収380万〜420万円(手取り月額約23万〜25万円)
・勤続10年以上(中堅・リーダー):年収430万〜480万円(手取り月額約26万〜30万円)
介護福祉士のボーナスの平均額は年間で65万〜85万円前後(給与月数の2.2〜3.0ヶ月程度)が業界の中央値です。基本給が低めに抑えられているため、月数が3ヶ月分あっても額面で60万円程度になる事例が多く、大手メーカーのような100万円を超える賞与は滅多に望めません。
ここで多くの介護職員が検討するのが、資格ステップアップの代表格であるケアマネジャー(介護支援専門員)との年収比較です。かつては「ケアマネになれば年収が大幅に跳ね上がる」と信じられていました。しかし、介護職員を対象とした処遇改善施策が集中的に投じられた結果、逆転現象や給与の膠着状態が生じています。
現在、ケアマネジャーの平均年収は約410万〜440万円。夜勤手当(月3万〜4万円)を満額受け取っている病棟や特養の介護福祉士と、夜勤のない居宅ケアマネジャーを比較した場合、介護福祉士の方が手取り額で上回る事態が頻発しています。ケアマネジャーは書類作成や関係機関との調整、利用者のアセスメントなど高度なデスクワークが中心となり、身体的負荷は軽減されるものの、「資格を取って責任が増えたのに給与が下がった」という葛藤を抱えるベテランも少なくありません。