パンクハザード編におけるたしぎの敗北は、読者に新世界の厳しさを強烈に印象付けました。彼女がローに全く歯が立たなかった理由には、明確な戦闘力の格差と精神構造の違いが存在します。
第一に、「覇気と悪魔の実への習熟度」の絶対的な差です。たしぎも2年の修行を経て武装色の覇気を習得していましたが、ローの空間支配能力「ROOM」と、彼の洗練された覇気を前にしては完全に無力でした。切断を防ぐだけの覇気の強度が決定的に不足していたのです。
第二に、「死生観と戦場の認識の甘さ」です。たしぎは海軍将校としての誇りを重んじるあまり、「斬られるなら死んだ方がマシ」という個人の名誉に逃げ込みました。しかし、ローが生き延びてきた裏社会や新世界の海賊稼業では、命を落とすことすら贅沢であり、生かされて生体実験のモルモットにされるか、尊厳を奪われて利用されるのが日常茶飯事です。
ローの言葉は、単に相手を辱める言葉ではなく、「敗者に死に方を指定する権利などない。生き残るための実力を持たぬ者は、敵の気まぐれに身を委ねるしかない」という、過酷な現実を叩きつける冷徹な忠告でもありました。