すぐカッとなる発達障害の真相|感情のブレーキが壊れる脳の仕組み

すぐカッとなる発達障害の真相|感情のブレーキが壊れる脳の仕組み

すぐカッとなる発達障害の真相|感情のブレーキが壊れる脳の仕組みの見逃せないポイントを徹底的にカバーしました。

会議でのちょっとした指摘、家庭内での予定の変更、あるいは作業中に声をかけられただけ――。第三者から見れば「なぜそんな些細なことで」と首を傾げるような場面で、突発的に激しい怒りを露わにする背景には、脳の神経伝達システムのエラーが存在します。 ヒトの脳において、怒りや恐怖といった原始的な情動を生み出すのは、大脳辺縁系に位置する扁桃体(へんとうたい)です。通常であれば、思考や理性を司る前頭前野(特に眼窩前頭皮質や背外側前頭前野)が即座に状況を分析し、「今は怒りを抑えるべき場面だ」「相手に悪気はない」と扁桃体に抑制のシグナルを送ります。これが健全な「感情のブレーキ」の機能です。 しかし、大人の発達障害を抱える脳内では、この抑制回路が正常に機能しにくい状態が生じています。神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンの分泌調整に偏りがある場合、前頭前野への情報伝達が滞り、扁桃体の興奮に対してブレーキが作動するまでに致命的なタイムラグが生じます。その結果、理性が介入する隙もなく、情動がストレートに行動や言葉として放出されてしまうのです。 児童精神科や発達外来の臨床現場でも、幼少期から残存する「原始反射」の影響や、中枢神経系の覚醒調整がうまくいかないことが、感情コントロールの難しさに拍車をかけていると報告されています。「怒りを我慢する意志が弱い」のではなく、「物理的にブレーキペダルが効きにくい車を運転している状態」と捉えるのが、脳科学的な実態に即した理解です。

佐々木 一輝
著者

佐々木 一輝

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。