日中の時間帯に八坂通を訪れてしまい、人混みに圧倒されたとしても諦める必要はありません。視点をわずかに変えるだけで、観光客の雑踏を完全にフレームアウトさせながら、情緒あふれる塔の佇まいを捉えられる八坂の塔の撮影スポットの穴場が存在します。
第1の穴場は、八坂通から一本北側の路地に入った文の助茶屋付近の細い小路です。観光客の動線から外れたこの路地からは、古い土壁と格子戸越しに塔の先端部分がひょっこりと顔を覗かせます。人通りがほぼ皆無なため、足元を写さず上半身のポートレートや町家の瓦屋根を主役にした情緒的な構図が落ち着いて撮影できます。
第2の穴場は、高台寺の南側・「ねねの道」から石塀小路へ抜ける手前の高台です。木々の枝越しに遠景として塔を望むアングルは、新緑や紅葉の季節に圧倒的な美しさを誇ります。東山の自然と人工建築美が見事に調和し、望遠レンズで切り取ることで手前の喧騒を一切感じさせない重厚な作品に仕上がります。
第3の穴場は、八坂庚申堂の境内から見上げる隙間構図です。境内に足を踏み入れるとカラフルな「くくり猿」に目を奪われがちですが、本堂脇の特定の位置から見上げると、極彩色のくくり猿の隙間から五重塔の相輪が青空に突き抜けるドラマチックなアングルを発見できます。上下の高低差を利用するため、手前に人が密集していても完全に頭上へ視線を逃がすことができます。
第4の穴場は、東大路通に近い八坂通の最下段エリアです。塔から200メートル以上離れたこの地点では、行き交うタクシーや人力車の合間を縫い、夕暮れのグラデーションの中に浮かび上がる法観寺の五重塔の見どころである美しいシルエットを街並みの影とともにドラマチックに収めることができます。