実際にふぐ料理店へ足を運んだ際、多くの初心者が直面するのが「料理の組み合わせと注文方法」です。専門店のお品書きには、てっさのほかにも聞き慣れない用語が並びます。
その代表格が「てっぴ(ふぐ皮の湯引き)」と「てっちり(ふぐ鍋)」です。コース料理を頼むと、通常は以下の順序で提供されます。
- 付き出し(てっぴ):本皮、鮫皮、身皮の三層を丁寧に湯引きし、冷水で締めて細切りにしたもの。ゼラチン質とコリコリした食感が特徴。
- 造り(てっさ):熟成させたトラフグの上身を薄造りにしたもの。
- 揚物(ふぐの唐揚げ):骨周りの身を特製醤油ダレや塩で下味をつけ、香ばしく揚げた逸話級の人気メニュー。
- 鍋(てっちり):昆布出汁を張った土鍋に、骨付きのブツ切り身(アラ)と野菜を入れ、ポン酢で味わうちり鍋。加熱されたふぐの身はふっくらと弾力を持つ。
- 食事(ふぐ雑炊):ふぐと昆布の濃厚な出汁が溶け出したスープに米と卵を投入した、コースの最高峰の締めくくり。
ネット上の口コミや知恵袋、SNSの投稿を分析すると、「てっさはテレビで見るように何枚も一気にすくって食べるのが正解なのか」「薄すぎて味があまりわからないのではないか」という疑問が頻出しています。
現場の板前や老舗の女将に取材すると、答えは明確です。「何枚も豪快にすくい取る食べ方は、昭和のバブル期やドラマの演出で広まったもので、実際には1〜2枚ずつ、薬味を巻いて噛み締めるのが一番旨味を感じられる」とのこと。一口目でポン酢の酸味と香りが立ち、二噛み、三噛みするうちにふぐ特有のイノシン酸が染み出してくるプロセスを味わうのが、本物の通の楽しみ方です。