長年寄り添ってきたにもかかわらず、なぜ熟年期に入って深刻な亀裂が生じてしまうのでしょうか。熟年離婚や家庭内別居に踏み切る背景には、突発的な出来事ではなく、日々の小さな不満の積み重ねが存在します。
最も多く挙げられる理由は「長期間にわたる会話の消失」です。子どもの教育や日々の連絡事項以外に感情を通わせる会話がなくなり、子どもが独立した途端に何を話せばいいのか分からなくなる現象が多発しています。
さらに深刻なのが、定年後の距離感の急変です。夫が退職して一日中家にいるようになり、妻の行動を逐一詮索したり、家事を一切手伝わずに「お昼ご飯はまだか」と求めたりする、いわゆる「夫源病(ふげんびょう)」を引き起こすケースが後を絶ちません。妻側が長年抱えてきたワンオペ家事やモラハラへの不満が、退職金を視野に入れたタイミングで爆発することも珍しくありません。
「長年我慢してきたが、残りの人生を自分らしく生きたい」という強い想いが、熟年離婚を選択する大きな原動力になっています。