中原中也の実際の姿を知る手がかりは、写真や彼と交流のあった文学者たちの証言、そして遺品に隠されている。彼の生前に交友のあった文士たちは、口を揃えて彼を「小柄で可愛らしい顔立ちをしながら、酒を飲むと手がつけられない暴れ馬」と評していた。実際の身長は約150cm。昭和初期の男性平均身長(約160cm)と比較してもかなり小さく、現代の成人女性の平均よりも低い部類に入る。
しかし、本人はその小格を微塵も感じさせないほどの威圧感を放っていた。バーで暴れ、年上の文学者たちに絡み、議論が白熱すると大声を張り上げる。その過剰なまでの攻撃性は、己の小柄な体躯を補って余りある自我の表れだったのかもしれない。