「なぜ家庭で作ると海老がパサつくのか」「どうしてプロの海老はしっとりとして色が鮮やかなのか」。その答えは、海老に含まれるタンパク質と色素の熱変化という科学的メカニズムに隠されています。
海老の身を構成するタンパク質(主にミオシンとアクチン)は、60℃を超えると凝固を始め、75℃以上で長時間を経過すると筋線維から水分が急激に絞り出されて硬直します。これが「パサパサのゴムのような食感」の正体です。おせち海老プリプリに仕上げるコツは、火にかける時間を最小限の2〜3分にとどめ、余熱で中心まで火を通すことに尽きます。
また、海老色鮮やか煮方裏ワザの核心は「酒のアルコール分」と「温度管理」です。海老の殻に含まれるアスタキサンチンという赤色色素は、生の状態ではタンパク質(クラスタシアニン)と結合しているため青灰色に見えます。加熱と酒(アルコール)の作用によってこの結合が解離し、遊離したアスタキサンチンが一気に鮮烈な朱色へと発色します。
煮汁の色が濃すぎると殻に醤油の色が移って赤色がくすんでしまうため、薄口醤油を使用するか、白だしをベースに仕立てるのがプロの常套手段です。さらに、火を止めた後に煮汁ごと冷ますことで、浸透圧の働きにより煮汁の旨味が海老の内部へとジューシーに戻っていきます。