ミュージシャンとしての成功に甘んじることなく、純文学のフィールドでも目覚ましい評価を獲得している点も特筆すべき実績です。
2016年に発表した半自伝的な処女小説『祐介』は、売れないバンドマンの葛藤や焦燥感を赤裸々に描き出し、文壇に鮮烈なインパクトを与えました。その後文庫化もされ、文学ファンからも高い支持を集めています。
その筆力を決定づけたのが、2026年に発表した中編小説『母影(おもかげ)』です。マッサージ店で働く母親を持つ幼い少女の視点から描かれた本作は、第164回芥川龍之介賞の候補作に選出されました。研ぎ澄まされた比喩表現と独自の感覚器官で捉えた描写は選考委員からも高く評価され、その後も長編『転の声』を発表するなど、日本を代表する実力派作家の一人として確固たる地位を築いています。