ネット上のコミュニティやSNSにおいて、「旧アニメのクロロは別格」「あのアニメーションはもはや芸術」と絶賛される背景には、当時の制作陣が注ぎ込んだ並々ならぬ熱量と、原作が持つダークな世界観の完璧な映像化がありました。
1999年版『HUNTER×HUNTER』の監督を務めた古橋一浩氏は、光と影のコントラストを極端に強調した画面構成や、静寂を効果的に使った間の演出に定評がある名匠です。ヨークシン編において、大都会の裏路地に潜む犯罪組織の冷酷さと退廃美を描くにあたり、クロロはその象徴として徹底的に作り込まれました。
特に視聴者の度肝を抜いたのが、セル画特有の厚みのある質感と、キャラクターデザイナー陣による繊細な筆致です。額の十字架の刺青、切れ長の瞳、艶やかな黒髪、そしてどこか生気を失ったようなアンニュイな表情――。これらが計算し尽くされた陰影処理によって描かれた結果、単なる少年漫画の悪役を超越した「息を呑むような妖艶さと冷徹さ」が画面越しに立ち現れることとなりました。