1980年代後半、歌舞伎界に地殻変動を起こした革新的舞台、スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』。この記念碑的作品において、段四郎が果たした役割は極めて大きい。彼はヤマトタケルの父である帝(スメラミコト)などを演じ、物語に圧倒的な格調と悲劇的な重厚感をもたらした。
スピード、ストーリー性、宙乗りといったダイナミックな演出が注目される中で、段四郎の存在は劇の精神的支柱となった。古典の確固たる台詞術と立ち姿があったからこそ、現代的な演出が単なる見世物にとどまらず、崇高な演劇作品として結実したのである。劇評家たちも、彼の存在なくしてスーパー歌舞伎の成功はあり得なかったと口をそろえる。