現在でこそ静まり返っているものの、サハラガラスパークの歴史と経緯を振り返ると、そこには地方観光開発の華々しい成功体験が刻まれています。1990年代初頭の開業以降、厳美渓名物の「空飛ぶ団子(郭公だんご)」と並ぶ一関観光の2大看板として君臨し、東北自動車道一関インターチェンジからのアクセスの良さも手伝って、最盛期には県内外から年間数十万人が押し寄せる一大ワンダーランドでした。
館内には、チェコやイタリアのベネチアをはじめ、世界各国から集められた100,000点を超えるガラス製品が所狭しと並び、万華鏡のように光を反射するアーチや屋外オブジェは、当時の観光客にとって最高の写真スポットでした。また、単なる物販にとどまらず、来訪者が自ら職人と共にガラスを形作るサハラガラスパークのガラス体験は、修学旅行生やファミリー層に絶大な人気を博しました。
体験工房では、約1,200度の溶解炉から巻き取ったガラスに息を吹き込む「宙吹きガラス体験」を筆頭に、ガラス表面を砂で削る「サンドブラスト」、絵柄を彫り込む「ハンドグラビール」、繊細なガラス棒をバーナーで溶かす「トンボ玉作り」など多彩なメニューが用意されていました。料金体系も一輪挿しで2,600円〜4,000円、グラス制作で5,000円程度と本格的でありながら手の届きやすい価格設定で、多くの人々にとって「人生で初めてガラス工芸に触れた思い出の場所」として心に刻まれています。