一見するとどちらも厳つい顔つきの大型白身魚ですが、実物を並べて観察すると決定的な識別ポイントが複数存在します。目利きが最初に見る部位は「エラ蓋」「体色と模様」「口の中」の3点です。
まず体表の模様において、若魚期のクエには体側に斜めに走る明瞭な暗褐色の縞模様(6本前後)が存在します。老齢魚になると全身が一様な暗褐色や灰褐色へと変化しますが、それでも独特のまだら模様がうっすらと残ります。これに対し、本アラは幼魚時に明瞭な2本の黒色縦帯を持ちますが、成長すると完全に消え去り、全体が紫がかった光沢のある灰褐色、あるいは銀褐色へと変化します。
より決定的な違いはエラ蓋(主鰓蓋骨)のトゲ構造です。本アラのエラ蓋後端には、鋭く強靭な2本のトゲが外側に向かって突出しており、素手で触ると怪我をするほどです。また、本アラは口を開けると口腔内が黒っぽい皮膜で覆われている特徴があり、これが深海魚特有のサインとなります。一方のクエはエラ蓋のトゲが目立たず、丸みを帯びた頭部と分厚い唇を備えており、両者を直接見比べれば誤認することはまずありません。