口に入れた瞬間の食感の違いは、その部位が持つ筋肉の役割に由来します。ヒレは脊椎の内側に位置し、ほとんど運動しない筋肉であるため、繊維が非常に細かく、驚くほど柔らかい食感を生み出します。噛む力が弱い高齢者や子どもでも無理なく食べられるのが最大のメリットです。
一方のロースは背中側の筋肉で、適度に動かす部位であるため、肉質はきめ細かくもしっかりとした歯ごたえがあります。赤身と脂身の境界線にある筋(すじ)を噛みしめるたびに、肉本来の強い旨味と脂の甘みが口いっぱいに広がります。この「肉を食べている」という実感こそが、ロースの最大の魅力です。