矢島工務店が単なる一発ギャグに終わらず、音楽ファンからも絶賛された理由は、その妥協なきメンバー構成と演奏力にありました。お笑いタレントが形式的に楽器を持つだけの従来のコントとは一線を画し、スタジオの現場には超一流のプロフェッショナルが集結していたのです。
バンドの中心を担ったのは、とんねるずの2人です。フロントマンとしてステージに君臨したのが、木梨憲武演じるヴォーカルの「ノーチン」でした。木梨は驚異的なハイトーンボイスと全身を使ったダイナミックなアクション、マイクスタンドを振り回す過剰なロックスターの振る舞いを完璧にトレースし、視聴者を圧倒しました。一方、後方で強烈なビートを刻んだのが、石橋貴明演じるドラムの「ターキー」です。雄叫びを上げながらスティックを乱打する石橋の野性味あふれるドラミングは、バンドに圧倒的な推進力とコントとしての爆発力を与えていました。
特筆すべきは、2人の脇を固めたサポートメンバーの存在です。番組の音響制作を担当していた専属バンドや、日本の音楽シーンを最前線で支えていた凄腕スタジオミュージシャンたちがニッカポッカを着用してギターやベースを本気で担当しました。当時の音楽番組を凌駕する重厚なディストーションギターのリフやタイトなリズムセクションは、スタジオの生演奏だからこそ生み出せた本物のグルーヴでした。
さらに、番組の勢いを物語るのが「歴代ゲスト」の豪華さです。来日中の大物海外ミュージシャンや国内のロックバンドのメンバーが、作業着を着せられてコントに突如乱入するサプライズが幾度となく仕掛けられました。言葉の壁を越え、工務店の作業場で本物のロックレジェンドたちがセッションを繰り広げる光景は、フジテレビ黄金期の圧倒的なキャスティング力を象徴する名場面として語り継がれています。