物語終盤、冬月コウゾウがマリと対峙した際に呼んだ「イスカリオテのマリア」という異名は、本作屈指の重要キーワードです。この言葉には、キリスト教伝承における裏切り者「イスカリオテのユダ」と、イエスの誕生と復活を見届けた「聖母マリア/マグダラのマリア」という対極の概念が重ねられています。
マリはNERV(ネルフ)、ユーロNERV、そして反ネルフ組織「ヴィレ」を渡り歩きながら、組織の定めたシナリオを裏切り続けてきました。ゼーレやゲンドウが描いた人類補完計画を打破する「裏切り者(イスカリオテ)」でありながら、絶望に沈むシンジを包み込み、新たな世界へ誕生させる「聖母(マリア)」の役割を果たしたのです。
エヴァンゲリオン8号機のパイロットとして圧倒的な戦闘技術を誇り、オーバーラッピング(機体の融合・強化)などの高度なシステムを自在に扱えた背景にも、黎明期からエヴァ開発の現場に身を置いていた科学者としての深い知識が存在していました。