冷蔵室も冷凍室もまったく冷えず、普段とは異なる耳障りな音が響いている場合は、心臓部であるコンプレッサーや冷媒回路の致命的な不具合を警戒しなければなりません。耳を澄まして聞こえる音の性質から、故障箇所の重症度を絞り込むことが可能です。
「カラカラ」「カタカタ」という乾いた連続音が庫内奥から聞こえ、ドアを開けるとピタリと止まる場合は、冷却ファンに成長した霜が接触している初期トラブルが疑われます。一方で、本体底部や背面から「バチッ」「カチッ」というリレー音とともに「ウーン」とモーターが苦しげに唸った直後、数秒で「プスン」と停止する現象を繰り返している場合は深刻です。これはコンプレッサー故障の確認方法における典型的な過負荷遮断(オーバーロード)の挙動であり、モーターの焼き付きやロックが起きているサインといえます。
さらに警戒すべきは、モーター音は静かに鳴り続けているにもかかわらず、庫内が一切冷えないケースです。通常、稼働中の冷蔵庫の側面や背面下部には熱を持つ配管が通っているため、手で触れるとほんのり温かくなります。しかし、電源が入っているのに側面が完全に冷え切っている場合、冷媒回路の亀裂による冷媒ガス漏れの症状が疑われます。
配管の微細な腐食から冷媒(代替フロンやイソブタン)が完全に大気中へ抜けてしまうと、圧力をかけても熱交換が成立しなくなります。冷媒漏れは密閉された配管内部で進行するため外見からは判断が難しく、修理には配管の溶接や冷媒の再充填を伴うため、修理費用が最も跳ね上がる部位の一つです。