デビットカードとクレジットカードの根本的な分岐点は、決済処理が行われた瞬間の資金移動ルートにあります。デビットカードは銀行口座の残高とリアルタイムで通信し、買い物をした瞬間に口座から代金が引き落とされる即時引き落としを採用しています。手持ちの現金を持ち歩く代わりに、銀行口座内の預金をデジタルで直接相手に渡している状態と言えます。
一方のクレジットカードは、カード発行会社が加盟店に対して代金を立て替え払いし、利用者は翌月や翌々月の支払日にまとめて返済する後払い決済(マンスリークリア方式)です。ここでは「カード会社が利用者の支払能力を信用して一時的に金を貸す」という信用取引(クレジット=信用)が成立しています。
この資金の流れの違いこそが、カード作成時のハードルを決定づけています。クレジットカードの場合、利用者に返済能力がなければカード会社が貸し倒れリスクを背負うため、勤務先、年収、過去の信用情報(CICやJICCなど)を照会する厳格な与信審査が法律上義務付けられています。対して、デビットカードは口座にある金額以上は決済できない構造上、貸し倒れのリスクが原理的に存在しません。そのため、信用情報の審査が一切存在せず、満15歳以上(中学生を除く高校生など)であれば原則誰でも審査なしで発行可能となっているのです。
さらに、利用限度額の仕組みも正反対のアプローチをとっています。クレジットカードの利用枠は、個人の返済能力や信用力に応じて「一律50万円」「100万円」といった上限が個別に設定されます。一方のデビットカードは、「銀行口座の現在残高」そのものが利用限度額となります。口座に10万円入っていれば上限は10万円、300万円あれば300万円の高額決済も一括で行えます。ただし、使いすぎや万が一の盗難に備えて、スマートフォンのバンキングアプリから「1日あたりの利用限度額を3万円に制限する」といった安全設定をユーザー自身が任意に変更できる点も大きな特徴です。