感染後、最初に現れる皮膚や粘膜の病変は第1期梅毒の典型例です。臨床写真やアトラス画像で確認される病変は、医学的に「初期硬結(しょきこうけつ)」およびそれが進展した「硬性下疳(こうせいげかん)」と呼ばれます。
一般的なできもの(ニキビ、粉瘤、毛嚢炎、ヘルペスなど)との決定的な違いは、その質感と中心部の状態にあります。梅毒の初期症状としてのしこりは、触れると耳たぶや鼻先のような「軟骨様の硬さ」があり、周囲との境界が比較的くっきりしています。発生から数日〜数週間経つと、しこりの頂点が崩れて浅い凹みを形成しますが、これは「梅毒のしこりと潰瘍の違い」というよりも、同一の病変が進展した一連のプロセスです。
発生部位は多岐にわたり、男性では亀頭、冠状溝、包皮、陰嚢、女性では大陰唇、小陰唇、膣前庭、子宮頸部などの外陰部が中心となります。しかし、病原体である梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)が侵入した部位すべてにできるため、オーラルセックスによって口唇や舌、咽頭にしこりができるケースも珍しくありません。口内にできた場合、一般的な口内炎と見誤られやすいですが、口内炎特有の「しみるような激痛」がない点が鑑別の大きな手がかりとなります。