生活保護に対する激しい反発の根源を探ると、日本社会に蔓延する「過剰な自己責任論」と「中間層のルサンチマン(怨恨)」という心理的病理が浮かび上がってきます。
失われた30年を通じて実質賃金が低迷し、誰もが経済的な不安を抱えるなかで、自力で踏ん張っている人々ほど「助けを求めて公費を受け取る他者」を許せなくなっています。これは、家族社会学で言われる「共依存的な我慢比べ」の構造と酷似しています。「自分も耐えているのだから、お前も耐えるべきだ」という抑圧の連鎖が、セーフティネットの破壊へと向かわせているのです。
しかし、誰しもが病気、事故、突然の解雇、あるいは親の介護や認知症によって、明日にも受給者側に回るリスクを孕んでいます。生活保護を「自分とは無関係な怠け者の特権」と捉えるか、「自分と家族の万が一を支える命綱」と捉えるかで、社会の強靭さは大きく変わります。私たちが真に注視すべきは、受給者を叩いて溜飲を下げることではなく、「働く者がしっかりと報われる賃金体系の再構築」と「不正を防ぎつつ困窮者を確実に自立させる制度の近代化」です。