両者を分ける最大の根底は、その設置母体とミッションにある。癌研有明病院(東京都江東区有明)は、1908年に創立された日本初の「がん専門財団」をルーツに持つ。民間主導で培われた独自の文化は、患者の手術件数やQOL(生活の質)の向上、きめ細やかな看護体制へと注ぎ込まれてきた。
一方、国立がん研究センター(中央病院:築地、東病院:柏)は、厚生労働省管轄の国立研究開発法人だ。言わば「日本のがん医療のルールブック」を作り出す国家の要塞である。標準治療の確立や全国の拠点病院の指導、新規抗がん剤の治験推進が至上命令だ。優劣の問題ではない。患者を包み込む臨床の場としての温もりを重視する民間病院と、最先端の学術・創薬拠点を担う国家機関という、目指すベクトルの根本的違いがここにある。