「かつての組事務所は看板を掲げていたが、いま敵はスマホの中に潜んでいる」。ある現役の組対捜査官はそう漏らす。2026年現在、指定暴力団の構成員・準構成員数は過去最低を更新し続けている。だが、犯罪被害額や悪質性が下がったわけではない。むしろ逆だ。
いまマル暴が最も注力しているのは、暗号化アプリやSNSを通じて指示を出し、一般の若者を使い捨ての「実行役」として動かす「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」の解体である。強盗や特殊詐欺、不正アクセスなどの末端を捕まえても、首謀者には届かない。マル暴捜査員は、従来のヤクザ関係者の人脈調査だけでなく、デジタルフットプリントの解析や国際捜査機関との連携を強化し、見えない組織の「幹部(指示役)」を追いつめる作戦に乗り出している。