植物学的にシソ科ラヴァンドラ属に分類されるラベンダーは、人類の医療と産業の発展において決定的な役割を果たしてきた。その歴史的転換点として語り継がれるのが、20世紀初頭のフランスで起きた劇的なエピソードだ。化学者ルネ=モーリス・ガットフォセは、実験中の爆発事故で深刻な火傷を負った際、とっさに手元にあったラベンダー精油を患部に塗布した。すると驚異的な早さで組織が再生し、傷痕も残らず回復したという。
この劇的な体験が契機となり、近代アロマセラピー産業の基礎が築かれた。現代日本においても、公益社団法人日本アロマ環境協会などが推進する香育やウェルネスの現場において、真正ラベンダー(学名:Lavandula angustifolia)の学術的価値は揺るぎない。鎮静成分であるリナロールや酢酸リナリルがもたらす科学的なリラクゼーション効果は、単なる言い伝えを超え、ストレス社会を生きる現代人の必須アイテムとして定着している。