藤圭子はその後、宇多田照實氏と再婚し、ニューヨークで娘・宇多田ヒカルを出産する。1998年、15歳で彗星のごとく現れ日本の音楽シーンを塗り替えた宇多田ヒカルのグルーヴ感とソウルフルな歌声の根底には、母・藤圭子の遺伝子が確かに息づいている。
宇多田ヒカルが持つ切なさを帯びた声の響きや独特のヴィブラートには、母の面影だけでなく、かつて母が愛した前川清が持っていた「声を楽器として鳴らし切る歌唱技術」との響き合いを感じ取る音楽ファンも少なくない。昭和の熱量が、次の時代の偉大な才能へとバトンをつないだ瞬間だった。