台風委員会に加盟する各国は、自国の動植物や名所、神話に登場する神々など多種多様な名前を提出しています。その中で、日本が割り当てられた10個の名前には「すべて星座の名前に統一されている」という明快な特徴があります。
日本命名の星座名一覧は以下の10種類で構成されています。
- コイヌ(こいぬ座):旧名「ワシ」の引退に伴い差し替えられた名称
- テンビン(てんびん座):公平や調和を象徴する天秤
- ヤギ(やぎ座):黄道十二星座のひとつ
- ウサギ(うさぎ座):オリオン座の足元に位置する星座
- カジキ(かじき座):南天の星座
- カンムリ(かんむり座):半円状に星が並ぶ北天の星座
- クジラ(くじら座):秋の夜空に広がる大型星座
- コップ(コップ座):春の南の空に見える杯の形をした星座
- コンパス(コンパス座):製図器のコンパスを模した南天の星座
- トカゲ(とかげ座):秋の天頂付近に位置する星座
なぜ日本は星座の名前に限定しているのか。気象庁が公表している選定基準には、実務上の強い配慮が存在します。台風は時に甚大な災害を引き起こすため、実在する特定の個人名、企業名、商業ブランドを連想させる呼称は絶対に避けなければなりません。また、特定の地域や文化圏に偏った感情的対立を招かないことも求められます。
星座であれば、「文字数が多すぎず発音しやすい」「特定の利害関係や差別的意味を含まない」「自然界の事象として中立である」という台風委員会の全条件を完璧にクリアできます。気象庁の担当者が熟慮を重ねた結果、夜空の星座という普遍的なモチーフが選定されました。