映画『20世紀少年』カンナ役は、人類滅亡の危機に立ち向かう「最後の希望」であり、類まれなカリスマ性と反骨心、そして孤独を背負う難役です。並大抵のアイドル性や小手先の演技力では成立しないキャラクターでした。
メガホンを取った堤幸彦監督が最も着目したのは、平愛梨が持っていた「剥き出しの瞳」でした。オーディションの最終選考において、平愛梨は腰まであった自慢のロングヘアを40センチ以上バッサリと切り落とし、原作のカンナそのままのショートヘア姿で審査員の前に立ちました。「受かるかどうかも分からない段階で髪を切る」という常識破りの覚悟は、まさに権力に屈しないカンナの魂そのものでした。
さらに、原作者の浦沢直樹も彼女の立ち姿を見て「カンナがここにいる」と直感したと証言しています。洗練された都会的な女優には出せない、どこか泥臭く、しかし芯の通った野生的なエネルギー。作り込まれた演技ではなく、彼女自身の生き様と役柄が奇跡的なシンクロを果たしたことこそが、知られざる最大の抜擢理由でした。