大人になってからの癇癪に悩む当事者や家族の間で、近年指摘されることが多いのが発達障害との関連です。特に注意欠如・多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)の特性を持つ人は、脳の神経伝達や情報処理の偏りから感情のコントロールに困難を抱えやすい傾向があります。
ADHD(注意欠如・多動症)の場合、前頭葉の抑制機能がうまく働きにくいため、「衝動性」が前面に出ます。感情を言語化して整理する前に怒りの感情がダイレクトに行動へと変換されてしまい、頭では「怒ってはいけない」と分かっていても口が勝手に暴言を吐いてしまう状態に陥ります。
一方、ASD(自閉スペクトラム症)の場合は、「こだわりの強さ」や「急な予定変更への耐性の低さ」、「感覚過敏」がトリガーとなります。自分のルーティンが崩れたり、周囲の意図を汲み取れずパニックに陥った結果として、防衛反応としての癇癪(いわゆるメルトダウン)を引き起こすことがあります。いずれの場合も、本人の努力不足ではなく脳の特性によるものであるため、特性に合わせた環境調整や療育的アプローチが不可欠です。