2023年7月の閉館セレモニーで多くのファンとアーティストが涙を流してから長い月日が経過しました。当初の計画であれば、中野区役所の新庁舎移転に伴い、2024年中には解体工事が本格着工し、中野サンプラザのシンボルである三角形の躯体は姿を消しているはずでした。しかし、現場を訪れても足場や防音パネルで覆われる気配は一向に見られません。
この異変の引き金を引いたのが、全国的な建設業界を直撃している未曾有の資材価格高騰と労務単価の上昇です。中野区および野村不動産を中心とする再開発共同事業者グループの公表資料や関係筋の証言によると、プロジェクト全体の想定工事費は当初算定されていた約1,810億円から約2,638億円規模へと約46%(800億〜900億円規模)も膨らみ、事業採算性が著しく悪化しました。
東京都内各所で進行する大規模再開発のラッシュに加え、時間外労働の上限規制(いわゆる建設業の2024年問題)に伴う深刻な人手不足が重なり、ゼネコン各社からの見積価格は事業協力者の許容限度を遥かに超える水準へ跳ね上がりました。このまま既存計画で解体・着工へと踏み切れば、民間事業者はもとより、公費を投じる中野区民の負担リスクが看過できないレベルに達すると判断され、施行認可申請の延期と計画の根本的な再設計が余儀なくされたのがサンプラザ見直しの偽らざる真相です。