「たかが小指」と軽視して取り返しのつかない事態を招いた当事者の体験談は、ネット上のコミュニティや医療機関の問診票に数多く記録されています。SNSや医療Q&Aサイトに寄せられた実際の患者の声を分析すると、共通した心理的パターンが浮かび上がります。
都内在住の40代会社員男性は、深夜にリビングでソファーの脚に右足の小指を強打しました。当時の状況を次のように振り返っています。「息が止まるほど痛かったのですが、お酒を飲んでいたこともあり、冷湿布を貼って就寝しました。翌朝、小指が赤黒く変色して普段の1.5倍ほどに腫れていましたが、かかと重心なら歩けたため、『骨折していたら歩けるはずがない』と自己完結して出勤を続けたのです」。
しかし、受傷から2週間が経過しても靴を履く際のズキズキとした痛みが引かず、小指が薬指側に曲がっていることに気づいて整形外科でレントゲン骨折診断を受けたところ、基節骨が完全に斜めに折れ、骨片がずれた状態で仮骨が形成され始めていました。結果として、一度骨を適切な位置に戻す徒手整復が必要となり、固定期間も当初の倍近くに延びることになってしまったのです。
日本人のメンタリティとして、「この程度の打撲で病院に行ったら大げさと思われるのではないか」「会社や家事を休む理由にならない」と痛みを耐え忍ぶ傾向が顕著に見られます。しかし、足の小指は歩行時の最終的な蹴り出しと、立位時の左右のバランス保持を担う重要なセンサーです。初期対応の遅れが変形性関節症や歩行パターンの乱れを招き、やがて同側の膝痛や腰痛へと波及するドミノ倒しを引き起こす現実に目を向ける必要があります。