不動産ポータルサイトの集計データや居住者の証言を突き合わせると、同じ約13〜14平方メートルの専有面積を持ちながら、長方形の部屋よりも正方形の部屋のほうが「圧迫感を覚える」と回答する割合が約28%高いという実態が浮き彫りになっています。その根本的な要因は、空間心理学で指摘される「対角線視程」の短さにあります。
長方形の間取りでは、ドアを開けた瞬間に対角線上の最も遠い角(フォーカルポイント)まで視線が自然に誘導され、奥行きを認識しやすい構造になっています。これに対し、正方形の間取りは壁面間の距離が四方均等(約3.6m×3.6m)に設計されているケースが多く、人間の目は壁面の近さを過敏に捉えてしまいます。その結果、物理的な容積は同一であっても、脳が「狭い箱の中に閉じ込められている」と錯覚を起こすのです。
さらに、多くの8畳正方形一人暮らしレイアウトで見られるのが、四方の壁に家具をペタペタと沿わせて配置した結果、部屋の中央に使い道のない中途半端な空きスペースが生じてしまう現象です。プロが提唱する正方形8畳部屋広く見せる方法の核心は、この無秩序な視線拡散を制御し、空間の入口から窓際へ向かう「抜け」を意図的に作り出すことにあります。