この事件が持つ圧倒的な緊迫感と政治劇としての深層は、長年にわたり映画や歴史ドキュメンタリーの格好の題材であり続けてきた。その代表格と言えるのが、事件の全貌と将校たちの相克を重厚に描いた名作映画『226』である。決起将校たちの純粋ゆえの焦燥と葛藤は、今なお観る者に強烈な問いを突きつける。
実証的検証の面で決定打となったのが、NHKスペシャル『二・二六事件 全記録』だ。極秘裏に録音されていた陸軍首脳部の電話音声テープや、憲兵隊の秘蔵取調べ調書を紐解いたこの作品は、クーデター裏で蠢いた保身と策略の構造を暴き出した。フィクションと記録映像の双方が提示する視点は、日本が破滅への坂道を転げ落ちていった「致命的瞬間」を現代に伝えている。